それぞれのスキルを把握する

昨年末、2015年の一人当たりのGDPで、日本は3万4522ドルとなり、経済協力開発機構加盟国35か国の中で20位になったというニュースが話題となった。

長期的に見て

短期的に見ると、為替レートの影響だったりという要素もあるものの、この順位は徐々に低下しつつあると考えられる。

GDP(国民総生産)が、人口×生産性、というように見ると、一人当たりの生産性が低下していると見るが、要因としては大きいのは労働人口が減ってきたことが大きいのではないかと思う。これは仕方ない事だが、現実に日本はこれからますます高齢化の世の中へと進んで行き、その後人口が1億人を割り、9000万人を割っていく。

ちなみに国民一人当たりの名目GDPを見ると1位はルクセンブルグ、つづいてスイス、ノルウェー、アイルランド、マカオ、カタールなどが並び、人口の少ない国が並ぶ。ただし、日本より人口の多いアメリカ合衆国がシンガポールやデンマーク等と同じレベルになっている。

アメリカは世界から人が集まり、金も集まる。労働人口の流入が多い事などもあるが、設ける率の高いビジネスを中心にしているように見える。モノづくりの生産性の効率は日本より上回っているとは思えない。

今の日本の金融産業やソフトウエア産業の仕事の生産性は、高いとも低いとも言えないと思う。ただ日本は、金融やソフトウエアの分野では、それらの中心にいるアメリカにくらべてハンディがある。

日本人の働き方についていろいろな意見が出ているが、決して低いとは思っていない。しかしこれから、人口が減っていくことを考えると、生産性は高めていかなければならない。

まず何をするか

人工知能や自動化をして行く事も一つだろう。それによって生産性が高まればよい。ただし、それによって得られる利益に介在する人数は少なくなり、利益の分配が社会広がってみんなが幸せな社会になるかは、かなりの人間の成熟が必要だ。

それならば一つ、一人一人の生産性を挙げてみよう。

そのために何をするのか。

まず、自分のスキルの量やレベルを正確に把握している人はいるだろうか。ロボットは1日に生産できる量、または馬力などが見えるかされている。それによって生産のチェーンにハマっていける。

しかし人間は生き物でムラもあるし、だれも自分の生産性を把握していない。これでは生産のチェーンの中に入れるのはボトルネックの要因になる事がある。

まずは一人一人がどんなスキルを持ち、どの位の生産性があるのかを把握すること、見える化する事が大事だろう。そこから、足りないものを補ったり磨く事もできるし、伝承する事もできるのである。

(文章・柄井匡)